代表取締役社長
北村 裕司 ポータブルスキル(基礎力)として特に持っていて欲しいのは、「相手の立場を考えること」と「創意工夫」です。
「相手の立場を考えること」はあらゆる場面で必要になります。会話をしている際に相手のレベルや状況に合わせること、社内では自工程だけでなく前工程や後工程の仲間のことを考えること、社外では原藻の仕入先や資材業者、顧客の立場になって考えることなど常に求められます。当社の社是である「良品は客を招く」には、「お得意様に良い商品を売れば、お得意様のお客様が増える」という意味もあります。正にお客様の立場に立った社是だと自画自賛しています。
「創意工夫」も仕事の中のあらゆる場面で求められます。伊勢ひじきの製造工程にも機械化が進んでいますし、当社も機械化できる部分は機械化を進めていますが、工業製品ではありませんので、まだまだ手作業も残っています。どの工程を機械化してどの工程は手作業で残すべきか、手作業の工程をいかに効率化するか、どのお客様にどのような提案をするかなど日常の仕事の中に創意工夫の余地はいくらでもあります。
これら以外では「伊勢が好き」な人に来て欲しいですね。伊勢ひじきは、数少ない本当の伝統地場産業だと思います。伊勢志摩の漁業者が採取した海藻を地元の人が運び、当社が伊勢製法で加工し、地元の業者に製造してもらったパッケージに詰めて、そして全国に出荷する、まさに伊勢を全国に発信しているような仕事なんですね。また、海藻を食するという日本文化を日本人の心のふるさと伊勢から発信することにも大きな意味があると思うんです。それだけに、ぜひ伊勢が好きな人にその一翼を担っていただきたいと願っています。
当社は伊勢ひじきの製造会社ですので、これまでは商社・問屋を通しての卸売が中心でした。今後は商品だけでなく伊勢ひじきの伝統やひじきの健康効果などの情報も発信したいと思いますので、ネット販売にも注力したいと考えています。ネット販売はOne to Oneマーケティングなので時間はかかりますが、ご購入いただいたお客様と確実にコミュニケーションできるというメリットがあります。そのように当社と対話できる、意見を言ってもらえる消費者の方を増やしていきたいと考えています。
今後も『ひじきを中心とした海藻の製造』という軸足はぶれませんが、消費者とのコミュニケーションという観点から、アンテナショップとして小売店や飲食店を1つ持ちたいという夢はあります。ひじきは食卓の主役にはなれませんが、そんなひじきをテーマにした飲食店について考え始めると構想がどんどん広がってキリがありません(笑)。小売店もすぐに持てるわけではありませんので当面はネット販売注力ですが、いつかは都市部にひじきなど伊勢志摩の海藻類を中心に販売するアンテナショップが持てればいいですね。その店では、きっと私以上にひじきや伊勢のことを語れる人はいませんので、私が店長です(笑)。