北村物産 株式会社 創業寛政年間 伊勢ひじき本舗

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お知らせ

ひじきの鉄分について

2016-01-13

平成27年12月25日に文部科学省は日本食品標準成分表の改訂版を公表しました。様々なメディアでは、
表示が大きく変わったのが「鉄分の王様」とも呼ばれるヒジキ。100グラムあたり55ミリグラムあった鉄分が6.2ミリグラムと、9分の1になった。ステンレス製の釜が普及し、以前より鉄分が少ないものが流通していることが理由。
などと報道されていますが、今回の文部科学省の発表や報道では一部現状に則していないと思われる部分もありますので、ひじき業者として説明させていただき、弊社の方向性を明記させていただきます。

  • 国内流通のひじきの98%以上(※1)は蒸乾(※2)(蒸して干した)ひじきです。
    • 伊勢志摩で明治時代には行われていた蒸乾法は、良質なひじき製品を大量加工することに向いていることからひじき加工の専門業者の間に広まり、韓国でも昭和中期に、更に中国でも平成に入ってからは蒸乾法で加工されるようになり、今でも韓国・中国ではほぼ100%蒸乾法です。
    • 蒸乾法は、昭和前期までは鉄釜でお湯を沸かしていましたが、あくまでも蒸気を使用して蒸し上げております。
  • 蒸乾加工では、釜の材質が製品の鉄分に与える影響は軽微であると想像しています
    • 文部科学省の発表では、加工の際の釜の素材がステンレスと鉄釜によって鉄分に差異が出るとの見解ですが、蒸乾する加工では、古くより鉄釜で蒸す様なことは行っておりません。古くは樽(木製)、コンクリート、FRP(繊維強化プラスチック)そして躯体は様々ながらひじきとの接触部分はステンレスを使用するようになりました。
    • たとえば弊社では、一辺1.5メートル角、深さ1.5メートル程度のステンレス釜で、乾燥後の製品約300㎏になる量のひじきを蒸し上げます。実際に、釜に接触するひじきはごく少量なのです。
  • 業界団体が産地別に鉄分を計測した研究データは、下記の数値(※3)です。(100g中)
    • 国内産ひじき(52検体)は 7.7mg
    • 韓国産ひじき(14検体)は47.6mg
    • 中国産ひじき(12検体)は47.7mg
      • 上記の検体は全て蒸乾加工したひじきです。
        • 釜の材質は国内産ひじき:ステンレス、コンクリート、FRP 韓国産ひじき・中国産ひじき:ステンレス
  • 国内流通量の約87%(※1)は海外産
    • 現在、国内に流通しているひじきは、中国産約46%、韓国産約41%、国内産約13%(※1)です。
    • 上記の産地別の鉄分を、シェア平均して国内流通ひじきの平均値を求めますと
      • 国内産(7.7mg ?0.13%)+韓国産(47.6mg ?0.41%)+中国産(47.7mg ?0.46%)=42.46mg/100g
  • 弊社の方針
    • 今回の文部科学省発表の数値の詳細は不明ですし、備考欄に記載されている「煮熟後乾燥したもの」が、蒸乾法も含むかどうかも不明です。弊社商品の現状に則した数値を使用してまりたいと考えております。
    • 商品への成分表示は、最新の日本食品標準成分表を使う義務は無く、独自の分析結果や古い日本食品標準成分表でも、引用元が明記してあれば良いので、業界標準が明らかになるまで、日本食品標準成分表2010に基づいて表示いたします。
    • 日本ひじき協議会の研究を待ち、産地別に成分表記を行っていく方向です。
    • 業界としての標準成分数値の策定のため、日本ひじき協議会をはじめとする業界団体に協力してまいります。

以上、諸事情ご理解いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

※1:数値は弊社の推計値です
※2:明治三十年、当時の農商務省が使用している単語です(「蒸乾法」と「煮乾法」として区別されています)
※3:数値は日本ひじき協議会の研究データです